「 iPad と Claris FileMaker を利用した業務システム作成体験セミナー」と題した iOS ハンズオンセミナーをご存知だろうか。
ローコード開発プラットフォーム Claris FileMaker を提供する Claris の主催により全国各地で開催されている、約 3 時間のアプリ開発体験型セミナーである。
参加者は手ぶらで会場に赴くだけ。FileMaker に関する予備知識もプログラミング言語についての知識も一切必要とせず、アプリ開発未経験者として堂々と参加できるハードルの低さが人気だ。そしてなんと参加費は無料!
この記事ではライター自らセミナーに参加して体験した内容を紹介するとともに、参加するとどんなメリットがあるかを考察してみたい。
セミナー冒頭では完成品を試用して「FileMaker で何ができるか」を体感
会場で受付を済ませると、1人の座席ごとに MacBook と iPad が用意されている。ログイン用の ID やパスワード、使用する Wi-Fi もすべて主催者側で準備されており、丁寧な説明でセミナーはスタート。
まず初めに iPad と MacBook の両方で、サンプルのカスタム App の完成品について、その機能をひととおり講師の説明に沿って使っていく。なお参加者の中には Windows PC しか触ったことがなく、Mac を扱うことからして初体験という人も一定数いたが、操作に慣れるとあっと言う間に macOS を使いこなしていた。
FileMaker ではカスタム App と呼ばれるアプリケーションを作成することができ、そのカスタム App は行政機関、医療機関、上場企業から中小企業にいたるまでの実務に耐えうる柔軟性と利便性を誇る。参加者が作る予定の「顧客情報管理」カスタム App の完成品をセミナーの最初に iPad上で操作してみることで、そもそも FileMaker で何ができるかその機能の一部を体験できるのだ。
本セミナーで扱うのは、顧客情報管理カスタム App。
作成するカスタム App では、顧客の会員番号や氏名や生年月日といった情報を閲覧・検索できるほか、住所情報からGoogleマップを画面内に表示することや、PDF を挿入し閲覧するといったこともできる。また iPad カメラで撮影した画像をカスタム App 内に記録したり手書きの署名を登録するなど、シンプルながら多機能なアプリケーションとなっている。日頃、一般のユーザとして iPhone や iPad のアプリを操作する身としては日常的な行為だが、これを開発者として「自分がアプリを作る」となると話は違う。会場内に一瞬、「これを今から自分で作れるのだろうか」といった緊張感が漂う。だがそれ以上に、ワクワクした気持ちも高ぶる。
解消された「ローコード開発って何?」の疑問
次はいよいよ、開発に着手。
MacBook で Claris FileMaker Pro を起動し、「さぁ、これからプログラミングだ」と参加者たちは緊張した様子でキーボードに手を置く。
しかしキーボードはほとんど使わない。あらかじめ用意された、顧客一覧が入力された csv ファイルを FileMaker Pro に読み込ませるだけだ。それだけでもう、入力や検索などが可能になるカスタム App ができあがる。
「えっ、これだけ?」
という、声にこそ出さないものの、驚くような、拍子抜けするようなリアクション、感嘆のため息が参加者から漏れ聞こえた。
続いて Google マップの表示や手書き署名機能など、高度ともいえる機能の数々をカスタム App に実装していく。ローコード開発プラットフォーム Claris FileMaker には、ボタン 1 つでそうした機能を即座に実装するパーツが用意されているのだ。もし 0 から手書きでコーディング(プログラミングコードを文字で入力していくこと)するとしたら、準備や学習を含めると数時間~数十時間はかかるうえ、ミスがあれば動かない。しかし、FileMaker を使うと、ほんの十数秒もあれば確実に動作する形で実装できてしまうのだ。
csv ファイルから変換したデータの塊から、そろそろ操作に慣れてきた MacBook でカスタム App に機能を次々に実装する。そして次はいよいよカスタム App を FileMaker Server にアップロードしネットワーク上で共有する。 iPad から開いて動作確認する。ちゃんと動く。
「おおぉ!動いた!」
その感動。これをいくつもの追加機能を開発・搭載する中で繰り返し体験し続ける。
はじめは、ぎこちなくモタつきながら開発作業を進めていた参加者たちも、2 つ、3 つと機能を搭載して動作確認するという繰り返しの中で要領を得てきたのか、セミナーの後半ともなると「言われなくてもわかる」とばかりに講師の説明が終わらないうちから手を動かし始める。とても 1 、2 時間前まで Mac を触ったこともなかった人たちとは思えない。
多少の計算式やスクリプトの記述でキーボードを使うものの、開発工程の大半はマウス操作によるクリックが占める。ほとんどコードを書かない(キーボードから文字を打ち込まない)で開発する、まさにローコード開発。「ローコード開発とは何か」を言葉で説明されるよりも、はるかに大きな説得力がそこにはある。
開発体験を通じて見えてくる自社への Claris FileMaker 導入イメージ
今回開発したカスタム App は FileMaker でできることの特徴をうまく盛り込んだ、いわば FileMaker のデモンストレーションともいえる機能をひととおり網羅しているが、このセミナーは Claris FileMaker のすべての機能のうち 3% も使っていないそうだ。例えるなら、世界一周の旅に出発するのにいまだ日本国内にいるようなものだ。
講師も説明の折々に「今回はたまたまこういう仕様のカスタム App を作っていますが、もし○○したければ、こうすれば実現できます」と、今回のセミナー実習では扱わなかった FileMaker でできる他の機能についてもさりげなくフォローアップしていく。
こうしてセミナー開始から 2 時間半ほどでカスタム App 開発の実習は終了。セミナー冒頭で操作した完成品カスタム App とまったく同じものを、参加者がイチから作り上げることができた。そして自ら開発した完成品カスタム App を前に、参加者は考え込むようなそぶりを見せ始める。
参加者たちに何が起きたのか? それは実習後の質疑応答タイムにわかった。参加者それぞれが勤める企業の業務で FileMaker を活用することを想定して浮かんだ疑問を、次々と講師に質問し始めたのだ。
「撮影した写真と位置情報を PDF にしてメール送信できますか?」
「スケジュールで自動的に集計できますか?」
「作ったアプリに海外の事業所からブラウザでアクセスできますか?」
「○○をするにはどうすればいいですか?」
講師やアシスタントが総動員で質問へ応対する。今しがた行った開発作業についてというよりは、それぞれの会社で抱えている課題の解決方法や、導入するにあたっての懸念事項に関してが多い。一言では回答しきれない込み入った質問もあり、ハンズオンセミナー終了後の個別相談タイムに持ち越す参加者もいた。また、後日あらためて話が聞きたいと講師と名刺交換をする参加者が相次ぐ。これまでまったく想像のつかなかった現場主導での課題解決型のアプリの導入が急に現実味を帯び、イメージできるようになったことで思考が活性化するのだろうか。熱のこもった質疑応答で会場の熱気は増すばかり。
必要なのは、「好奇心」ただ それだけ。
iOS ハンズオンセミナーは、ある意味では世界観が一変する体験ともいえる。
Aha! Moment ともいえる 「なるほど!!」を久しぶりに感じることができた。
システム開発についての知識も経験も要らない。所属部署も職業も問わない。現場の人間か経営層の人間かも関係ない。必要なのは「好奇心」ただ それだけ。
「たった 3 時間のセミナーに出るだけで、本当にそんなことが起こる?」
と疑ったあなたが次にとるべき行動はただ 1 つ。
あなたがこのセミナーに参加して、この記事で述べられた内容を実際に体験してみることだ。
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最終更新日:2024 年 4 月 26 日